特集 利用者の声を聞く
家族・本人は在宅サービスに何を求めているのか―ルポライターが経験した老親介護
向井 承子
pp.634-642
発行日 1997年9月15日
Published Date 1997/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901707
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プロローグ
90歳の母をみとり終えて,3年が過ぎた.
その数年前に父をすい臓がんで見送った.老いてふたりだけでは暮らせなくなって,娘夫婦のもとに身を寄せた22年間の長い「老後」は,みるもの,みられるもの双方にとって,心の備えのない予想外の,いわば「成り行き」の膠着状態と言った感だった.その最中には,いつ終わるとも知れぬ家族介護の重さに,こちらが先に死に吸い込まれそうな恐怖さえつきまとった.
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