音楽でホッとひと息―現代人に贈る癒しの音楽
―フォーレ―「ラシーヌ雅歌」/「小ミサ」
竹重 敦
pp.302
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901651
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癒しの音楽に欠かせないものにいわゆる宗教音楽がある.西洋クラシック音楽で宗教曲といえば,当然キリスト教絡みの音楽を意味する訳で,そう聞いただけで敬遠する向きも多いことだろう.だが,宗教曲を聴くにあたって,その「宗教色」を過度に意識する必要はない.特に今回の企画のように,元々疲れた現代人を癒すための音楽としては,真正面から作品に向かうことは必要ないのであり,とにかく聴いて身心が癒されリフレッシュされればそれでいいのである.そう言ってしまうと,熱心な音楽ファンからはお叱りを受けそうだが,私はむしろ,キリスト教を信じていない,あるいは興味かないといった理由でかけがえのない宝の山に見向きもしないことの方が,よっぽど不幸だと考えるのである.とにかく偏見と先入観を捨てて,虚心に耳を傾けてほしい.そうすれば思わぬ出会いが待っている筈である.
宗教曲の中でも特に名曲揃いでおすすめなのはレクイエムである.レクイエムとはズバリ死者のためのミサ曲.古今,名作が目色押しだが,ヒーリングに相応しいものとしては,これはもう何と言ってもフォーレということで異存のないところだろう.
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