米国短報
米国の高齢者用住居(2)―Assisted living
Scott 渡辺 由佳里
pp.298-299
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901650
- 有料閲覧
- 文献概要
看護としてどうありたいのかを明確に
専門的な意見はないのですが,米国の発達心理学上で最も重要なのは「Self-esteem」なのではないかと思うのです.このSelf-esteemという言葉を聞かない(読まない)日はないし,NANDAの看護診断の項目にもあるほど米国人にとっては重要な言葉なのです.直訳すると.「自己尊重」といったところですが,ぴったりする日本語は無いような気がします.何とか説明しますと,「自分自身を人格・能力・外観を含めて価値があり,尊敬に値する,また社会・家族・他人から必要とされる人間であると信じる」といったところでしょうか.そこで,ティーンエイジャーが不良化すると,「両親や学校が彼らのSelf-esteemを育てなかったからだ」ということになり,学校でのマイノリティーの学習結果が不良だとやはりSelf-esteemが低いからだと言われます.暴力をふるう男性との付き合いを断ち切れない女性のSelf-esteemも低いと言われます.ともかくこれが人間の根本だといった宗教的な信念すら感じられます.
この概念は非常に米国的なもので,時には本人のSelf-esteemが,実際の能力より高すぎて,かえって学習結果を悪くしたり,周囲との軋轢を引き起こすこともあります.しかし,これがアジア系米国人の間で問題になることが少ないのはやはり長年培われた文化の差なのかもしれません.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.