米国短報
米国型管理医療の光と影(2)―HMO高齢者保険の正体
Scott 渡辺 由佳里
pp.152-153
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901618
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米国共和党の大統領候補だったボブ・ドール氏(96年11月現在)が,米国医療システムの危機について質問され,「(クリントン大統領は)危機だ危機だと大袈裟だが,私に言わせればアメリカの医療システムは世界一洗練されている」「医療システムの危機を見たいならサラエボかルワンダに行け」と答えたのには仰天しました,73歳という年齢はさて置き,この現実離れした見解は,まさに日本の政治家を彷彿とさせるものです.
確かに,全般的な医療の質やサービスは(私個人の経験からは)大変洗練されていると認めざるを得ません.世界一と言っても差し支えないでしょう.しかし,ここで問題になっているのは医療の質ではなく,根本的な制度崩壊の危機なのです.民主党も共和党も(ボブ・ドール氏個人が認識しているかどうかは別にして),このままでは近い将来に連邦政府が主体のMedicareと,州との共同主体であるMedicaidの制度が経済的に破綻することは認めています.また,民間の健康保険制度もHMOの台頭に象徴されるように,根本的な危機に陥っています.
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