医学のあゆみ・49
奇病の正体
杉 靖三郎
pp.36
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910055
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きよねんの11月に,“こどもの奇病”と称するものが,四国からはじまつて,関西から,関東,東北地方まで,ほとんど全国的にはやつたことが,新聞で報ぜられた。
この病気は,4〜5歳から10歳くらいまでの小児をおかし,はじめは,ちよつとカゼをひいたようであり,発疹は軽いが,発病してから3週間あまりたつて,突然むくんで,はげしい腎臓炎の症状があらわれる。猩紅熱に似ているが,発疹の具合や腎臓の冒され方がひどすぎるので,猩紅熱ではないらしい。死亡率も,これまでのふつうの猩紅熱では0.5%以下だつたのに,これは5〜6%もある,というわけで,新しい病気—奇病だ,ということになつたのであつた。
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