特集 在宅ケアにおける感染症対策―押さえておきたいポイント
特集5
B型肝炎,C型肝炎,HIVなどの在宅ケアにおける感染症対策
中瀬 克己
1
1岡山市保健所
pp.735-739
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901368
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基本的な考え方
在宅ケアに携わる方々にとって,B型肝炎,C型肝炎,HIV感染症など,血液などによって感染する感染症は,自らの健康にかかわる問題として関心の高いものと思います。B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎例が医療関係者で報告されたり,HIVへの感染が起こり得るといった情報は,在宅ケアに携わる看護職や介護職の不安を引き起こします。しかし在宅ケアの内容が介護であれば,まず感染の可能性はなく,血が混じった便の処置に手袋をするといった対処で十分です。在宅ケアといっても血液や血液の混入した排泄物などに触れる機会がなければ,血液媒介感染を目的とした予防策は不要です。
一方,在宅医療を行ない,褥瘡の処置や尿道カテーテルの交換,注射針を扱うような場合には,血液や体液と触れる機会が増え,系統的な対処が必要となります。在宅医療の場で血液などが媒介する感染を防ぐための注意点は,施設内医療の場と基本的に同じです。このように言うと,「血液媒介感染を防ぐ対処を,在宅医療の現場で十分に行なっていない」と対策の現状に不安を持つ看護・介護担当者もおられることでしょう。しかし,実際の危険性は,病院など観血的操作の多い急性期医療の場と在宅医療とでは異なり,在宅医療における血液媒介感染の可能性は大変低いものです。
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