特集 在宅ケアにおける感染症対策―押さえておきたいポイント
特集4
在宅でのMRSAの感染予防の対策と実際
田村 ひろみ
1
1東入間医師会訪問看護ステーション
pp.730-734
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901367
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はじめに
介護保険が施行されてからは,近年に増して在宅で過ごされる方が多くなっています。その幅は,高齢者から乳児までと幅広く,在宅では療養と医療が共存するようになっています。疾病もさまざまですが,TPN(Total parenteral nutrition:完全静脈栄養)や人工呼吸器を装着していたり,さまざまなカテーテルを挿入している人や,重度の褥瘡の処置を必要とする人も在宅で過ごしています。このような高齢者や医療機器を使用している利用者は,身体の機能低下や栄養状態の低下などで感染しやすい状態にあります。まして在宅では,MRSAなどに感染している人もいれば,感染していることも知らずにいて検査や入院を行なって初めて感染がわかる人もいます。MRSAは常在菌ですが,皮膚の粘膜に損傷があったり,抵抗力の低下している易感染状態では感染や発症が起こりやすいとされ,接触性感染が起こることも多いです。
在宅では,1人の利用者に対して10数人の介護者や看護者が訪問するたあ,感染しやすい状態の人への訪問は特に注意が必要です。特に,「目に見えないもの」を運んでしまうので,感染の有無にかかわらず,訪問する私たちが媒体とならないようにしなければなりません。在宅では常時医療者が傍にいるわけではないので,かかわる人がどのように対応し,それを継続することの確認や統一化が困難なことも多々あります。
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