連載 訪問看護 時事刻々
今月の話題 介護タクシー
石田 昌宏
1
1日本看護協会政策企画室
pp.299
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901297
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介護タクシーが話題になっている。介護タクシーは,介護保険が始まる以前から患者の通院などを支援するサービスとして有料で行なわれていた。介護保険が始まってから,一部の会社が運転手にホームヘルパーの資格をとらせることで訪問介護事業者の指定を受け,正規の走行運賃に加え乗降の部分を介護報酬で請求する事業をすすめたが,それでは負担が重く利用者数は頭打ちになった。そこであるタクシー会社が走行運賃を無料にする「ノーメーター・サービス」をはじめたところ,利用者から大変好評となった。在宅で介護を受けながら暮らしていると,外出時にちょっとした援助があるかないかで行動範囲がずいぶん変わるから,このサービスは非常にありがたい。
しかし,そこに行政から待ったがかかった。タクシーが走行料金を無料にして営業することがタクシー料金を規定している“道路運送法”に抵触するから走行中の料金を徴収すべきと運輸省が主張し,会社を指導したのだ。それに対しタクシー会社,サービスの利用者,地方議会などが「無料運賃はニーズにあったサービスだから続けてほしい」と反発。介護タクシーのあり方について論争が始まった。実はこの指導には,厚生省が「移送部分は介護保険の適用外」との見解を出したという背景があった。
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