特集 24時間対応の模索と成果
難病の在宅ケアにおける24時間対応への挑戦
川村 佐和子
1
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科臨床看護学
pp.109-115
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901133
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難病と看護活動
難病の問題が社会的に知られるようになったのはむしろ,療養者側からの問題提起によっていた.つまり,スモン患者の運動が他の神経疾患(多発性硬化症や重症筋無力症,パーキンソン病など)の患者の組織化を触発し,全国難病団体連絡協議会を作り,国の難病対策を促進していったという経過がある.筆者にとって,この経過は全国スモンの会や東京進行性筋萎縮症協会,パーキンソン病友の会の運動に協力し,難病患者の立場から,難病による療養者の問題をいかに的確に社会問題として,アッピールできるかということを研究した経過でもあった.
昭和40年代はじめの患者の問題は,まず診断の確定であった.ついで,医療継続であり,引き続いて患者を支援する家族の生活が崩壊寸前であることであった.診断確定や早期発見に関しては,難病検診を各地で行なうこと,医療継続は在宅診療を都立府中・神経病院で開始すること,地域主治医やその組織である地区医師会と連携する診療チームを形成することで解決の方向を探った.患者家族の生活の破壊に関しては,客観化するための方法を開発するのがなかなか困難であった.
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