特別記事 公的介護保険と訪問看護(前篇)
【講演録】訪問看護の意義と問題点
滝上 宗次郎
1
1有料老人ホーム・グリーン東京
pp.116-120
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901134
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はじめに
いくら払うと,どのような介護サービスが得られるのか.介護保険をめぐる国民の関心事はそのようなところにあるのでしょう.
負担と受益とは不可分.それはあまりに当たり前のことですが,福祉を語るにあたり大きな前進だと思うのです.というのも従来,日本の福祉が立ち遅れた理由として,負担の問題が議論されてこなかったという事情があるからです.連立政権が生まれるまでの長い間,自民党の単独政権は票にならないと福祉を軽視してきました.社会主義を標榜するところから始まった野党の社会党は,当然政策面で対抗上,福祉政策を重点課題としてきました.しかしその実態は,単なる選挙のときの人気取りでした.「増税反対」すなわち「高福祉だが低負担」という非現実的な政策を堅持して,与野党がいっしょになって日本の福祉を遠ざけていました.
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