連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第27回【最終回】
ケアリングが直面するいくつかの問題群(そのⅢ)
中島 紀惠子
1,2
1新潟県立看護大学
2北海道医療大学
pp.594-595
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201247
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どんなふうに「英知」と「世話」はつながっているのだろうか
私は、老人に関するステレオタイプなイメージや認知症の人々へのネガティヴな差別という現状を、あえて当事者の側から確認し、支援する側のケアがよりよくなるような実際的なあり方を探り当てていきたいと思ってきた。それを考える道筋には、いつもE・H・エリクソンの、あの図式—“ライフサイクル”があった。老年期にのみ恵まれる「英知」と、成人期に遭遇する「世話」がどのように関連しているのか。その構図がわかれば、さまざまに変化する介護家族の苦悩や、ケアに依存せざるを得ないが自立的でありたいという希望を封印しがちな人たちの苦悩に、より近づけると思ってきた。しかし、それを伝える機会の度に失敗し、挫折感を味わってきた。
今回は、あえてこの難題に挑戦してみようと思う。
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