連載 他科との連携
印象的な,いくつかのケース
後藤 陽子
1
1日本医科大学附属千葉北総病院眼科
pp.1256-1257
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907824
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日々の診療の中で経験した他科に関連したこと柄と,それについて思うことを少し書かせて頂く。
数年前,私が派遣で勤務していた病院での出来事である。「眼の周りが重い感じがする」と訴えて来院した患者さんを診察した。ひと通り診察したものの,眼科的な異常はみつからなかった。副鼻腔炎の可能性も考えCTを行った(本来なら耳鼻科の先生に診て頂きたいところだったが,その病院の耳鼻科は非常勤務で診察は週に1度だった)。CT上,上顎洞に陰影があったため“やはり副鼻腔炎だ。抗生剤を処方して次の耳鼻科外来で診察して頂こう”と思った。数日後,その患者さんは紹介状とともに耳鼻科を受診された。その日の夕方,看護婦さんが「あの患者さん,都心の大きい病院に行くことになったみたいですよ」と言う。“副鼻腔炎で大きい病院へ行く? 手術でもするのかな”と思いつつ,話を聞きに耳鼻科外来へ向かった。すると耳鼻科の先生は「骨が溶けてきているし,これは悪性のもののようです。専門の病院に行って頂くことにしました」と教えて下さった。CTを見ていながら副鼻腔炎だと思い込んでしまった自分の未熟さを痛感した。よくわからない症例をみたとき,無理やり自分の知っている疾患にあてはめてはいけない。当然のことだが,あらためて思った。耳鼻科の先生が非常勤でもいて下さって良かった。
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