特別記事
「訪問看護師向け長期膀胱留置カテーテル閉塞予防・対応プロトコール」の開発—対応の動きを「見える化」する試み
前田 修子
1
,
滝内 隆子
1
,
森山 学
2
,
福田 守良
1
1金沢医科大学看護学部
2金沢医科大学氷見市民病院泌尿器科
pp.484-490
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200720
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カテーテル留置が長期化する在宅の現場
はじめに、なぜ訪問看護における膀胱留置カテーテルの閉塞に注目したのかをお伝えします。膀胱留置カテーテル(以下、カテーテル)の留置は、できるだけ早期の抜去が原則です。しかし、在宅でのカテーテル留置者は留置理由に、尿閉はもちろん、介護負担の軽減、尿失禁、褥瘡管理などが挙げられ、結果的にカテーテル留置期間が長期化している実態があります。訪問看護ステーションを対象にしたわれわれの調査では、平均カテーテル留置期間は4.3±3.8(0.5〜15.3)年であり、カテーテル抜去の予定がある者はほとんどいませんでした*1。
カテーテル長期留置に伴う主な合併症は、カテーテル関連尿路感染(CAUTI:catheter-associated urinary tract infection)です。尿路感染症は、カテーテル留置自体が原因であるため、カテーテルを30日間留置すると細菌尿がほぼ100%のカテーテル留置者で出現します。よって、カテーテル長期留置者ではCAUTIは必発ですが、無症状で経過するケースが多く、完全な除菌は困難であるために、細菌尿を認めるだけでは治療対象とはならないことが一般的です。ただし、CAUTIは、カテーテル閉塞の発生により急激に重症化し、腎盂腎炎や敗血症などを併発し、訪問看護による緊急対応や救急外来受診・入院などにつながるおそれがあります*2・3(図1)。
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