提言
新年に,未来を担う若いOTに,伝えたいこと
深川 明世
1
Hiroyo Fukagawa
1
1専門学校 社会医学技術学院
pp.4-5
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200090
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はじめに,日本経済から考える
来年度の国家予算がついに100兆円を超し,借金は1,000兆円という.この数字をみて,暗澹たる思いを抱くのは,私一人ではないだろう.この支出予算の37%を社会保障費が占める.これは,医療・福祉の分野で働くわれわれの給与や雇用にも直結する数字である.
病院勤務のときには,年を追うごとに書類の提出や運営会議が増え,また医療法の改正のたびに対象者との治療や指導時間が減少するのを痛感していた.しかし,学校に勤務してわずか数年の間に,同様の体験をしている.さまざまな新制度の通達があり,提出書類の作成に追われている.これは,学校数が多くなりすぎたことに対する補助金の絞り込み策と考える.
また,行政施策の急激な変化はもちろん,医療や学業を提供する対象者の変化も著しい.病院勤務のときは,高齢者を支える家族数の減少と家族関係の希薄さに驚く日々であったが,学校勤務の今は学生を取り囲む経済力の低下,親子関係の脆弱さや学生自身の生活力の低下に驚いている.子どもの貧困が昨今,よく報道されるが,成人近い学生にも親の経済力が,さまざまなかたちで影響していることを痛感する.社会の変化は一番力のない子どもたちに大きな影響を及ぼしている.先進国の中で一番の借金大国で少子高齢化による税収の減少や社会保障費の増大の中,凄いスピードで今まで体験してこなかった社会へと変貌している.
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