特別記事
認知症を予防・改善する学習療法―在宅における実践の可能性
川島 隆太
1
,
山崎 律美
2
,
大竹 洋司
3
,
伊藤 眞治
3
1東北大学加齢医学研究所
2特別養護老人ホーム永寿園
3くもん学習療法センター
pp.657-661
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102865
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超高齢社会に突入したわが国にとって、認知症とその予防の対策を行なうことは、持続可能な社会システムを維持するために喫緊の課題である。認知症の治療と予防に関して、医療分野では、分子生物学的アプローチから創薬開発、非薬物療法まで多岐にわたり対策が行なわれているが、認知症患者の認知機能を向上させ、健康な日常生活レベルを取り戻すことは未だに難しいのが現実である。
私たちは、2002年科学技術振興機構・社会技術システム「脳科学と教育」の公募研究として、「前頭前野機能発達・改善システムの研究開発」を行ない、認知症高齢者の認知機能向上を可能とする非薬物療法「学習療法」の開発に成功した*1。学習療法は、「音読と計算を中心とする教材を用いた学習を、学習者と支援者がコミュニケーションをとりながら行なうことにより、学習者の認知機能やコミュニケーション機能、身辺自立機能などの前頭前野機能の維持・改善をはかるものである」と定義した。
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