特別記事
高齢者うつ病は認知症とどこがちがうのか―対処法は?
服部 英幸
1
1国立長寿医療センター行動・心理療法科
pp.32-37
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101509
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
高齢者うつ病の特性
はじめに,本誌の読者ならしばしば経験したことがあると思われる,比較的よくみられる高齢者うつ病の一例を提示する。
79歳女性。20年前より高血圧にて継続的に投薬を受けている。3年前より変形性膝関節症のため杖歩行となり,好きだった畑仕事ができなくなって自宅で過ごすようになってきた。
半年前より時折,眩暈,しゃべりにくさを感じることがあったという。
1か月前より不眠,頭重感,四肢のしびれを頻繁に訴えるようになった。しばしば,なにも楽しいことがない,死にたいといい,体がだるいからといって日中も布団のなかで過ごすことが多くなった。家人は物忘れも出てきたという。
初診時,改訂長谷川式知能スケール22点。血液検査,内分泌検査,心電図,胸部レントゲンを行ない異常なし。頭部MRIでは基底核と深部白質にラクナ梗塞巣を多数認めた。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.