研究と報告【投稿】
医師の病院成員性について—どうしたら医師を病院にとどめることができるか
吉田 尚美
1,2
1大同病院
2前:四日市築港病院
pp.73-77
発行日 1969年10月1日
Published Date 1969/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203779
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はじめに
現在,病院における医師不足はきわめて深刻であり,早急になんらかの対策を講じないかぎり,病院の医療は一部崩壊するのではないかと思われる.その原因となるものにはいろいろあるであろう.たとえば若い医師が経済的な理由でどんどん開業に流れること,大学の紛争で新医師の社会的流出が阻害されていること,さらには医療機関の増設などにより医師に対する需要がとみにふえてきたことなどによるであろう.
それはとにかく,現在,地方では定員を維持できる病院は,いわゆる教育病院およびそれに準ずる2,3の病院だけであって,大半の中小病院やへき地の病院では定員をはるかに下回る人員であり,これをようやく非常勤医師によってカバーしているか,それもできぬような所では,もはや医療を継続していくことすら困難となってくる.医療調査(1968)によれば,地域別1施設あたりの医師数は,7大都市では20.4人,人口30万以上の都市では8.9人,人口5万以上の都市では7.2人と,小都市になるほど少なくなり,医師の都市集中の現象を示してい,地方では十分な医師を確保することがきわめて困難なことを物語っている.
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