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街から村から
大塚 米子
pp.61
発行日 1952年5月1日
Published Date 1952/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200114
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雜感
雪深い東北の避地・秋田にも春のいぶきが感じられる頃となりました。1米も積つた雪も,ガサリガサリと軒からはなれて行く春の喜びは雪國なればこその感じです。
毎年,小學校入學期に感じることですが,いわゆる,子供の早生れ,遲うまれということです。3月の25日過位に生れた子供は出生屆を一週間おくらせ,4月の2日以後にする……。僅かの日數で,1年早く子供を學校にあげることは可愛想という親の氣持はわかりますが,その樣な盲目的な愛情で,神聖な出生の記録を左右されてはたまりません。一つの生命がこの世に生れいずるということはいかに神秘な又壮嚴なことかは,助産婦の私達がもつともよく知るところでしよう。殊に學令も滿で數えられるようになりました。こんな細いことにも私達の仕事はあるのではないでしようか。教員の如き,指導者の中にも,このようなことがおこなわれていることを知つた時,私は惡寒心にたえませんでした。
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