連載 人が生きる現場・1【新連載】
大切なのは今,ここ。―山谷・きぼうのいえ
服部 洋一
1
1東日本国際大学
pp.271-273
発行日 2007年4月25日
Published Date 2007/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100646
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◆風変わりな町,体当たりのケア
山谷という町がある。台東区と荒川区の境目に位置するこの町の名は地図にはない。南千住の駅から泪橋交差点を越えてのぞむさびれた一角が,昭和のある時期,1万数千人もの日雇い労働者の熱気で沸きかえったことを想像することは難しい。
1964年の東京オリンピックを頂点として高度成長期が終焉を迎えると,彼らの働き口は急速に失われていった。祭りの喧騒が退潮し,多くの者がこの町を去るなかで,残ることを選んだ人々,残らざるを得なかった人々もいた。
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