連載 100歳までの道のり・1【新連載】
母の生まれた時代と生活のありよう
城 美奈子
1
1北海道医療大学認定看護師研修センター/皮膚・排泄分野
pp.856-860
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101181
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はじめに
高齢化が急速に進む日本,2040(平成52)年には年間死亡者数が166万人の多死時代を迎えるといわれています。日本人の平均寿命が延びて長寿大国ともいわれていますが,長寿を幸せに生き抜くことは並大抵のことではありません。なぜなら,老化して思うようにならない身体で,お迎えが来るまで生きる営みという闘いを続けなければならないからです。つまり老いて,どんなに辛くて大変でもお迎えが来るときまで自分のもてる知恵を働かせながら,自己を保持しつつ生きる闘いを継続する,そんなご時世をたくさんのひとが迎えるということでしょうか。
私は現在96歳の母の生活を12年間,月1回通ってみてきました。まさに,長寿を生き抜く闘いを垣間見させてもらっているように感じます。年々変化していく心身の老いというさまをみて,その人らしく生きるとはどういうことなのか,結局のところ人の幸せとはどういうものなのか,そういうことが心にひっかかるようになってきました。そこで,非常に私的な内容になりますが,母が老いながら生活していることに視点を置き,関わりを語って(ナラティブ*)みたいと思います。
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