連載 高齢者虐待にどう対応するか・7
カンファレンスの活用・1
和田 忠志
1
1千葉健愛会あおぞら診療所新松戸
pp.846-849
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101179
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今回は,2回の連載を通じて,「カンファレンスを行なう時期とその役割」を考えてみたいと思います。大まかに言って,カンファレンスには,情報収集および共有機能,意見をとりまとめて方針を決定する機能,専門家や行政担当者に専門的な事柄について相談する機能などがあります。カンファレンスで代表的なものは,ケアマネジャーに義務付けられている「サービス担当者会議」です。そのほか,市町村(あるいは高齢者虐待防止ネットワーク)や都道府県には,高齢者の虐待困難事例を取り扱う,「虐待困難事例カンファレンス」が設けられている場合があります。これらを必要に応じて使い分けましょう。
カンファレンスを行なう時期の設定は重要です。「対応困難なケース」に遭遇したら,遅滞なくカンファレンスを行ない,方針を決定することが必要です。ただし,カンファレンスがうまく機能するためには,事前の情報収集や,事前のある程度の活動が必須です。特にカンファレンス主催者は,カンファレンスが「事例援助のどの時点で行なわれているか」を認識し,カンファレンスの意味づけを明確化する必要があります。そして,必要な情報を準備し,ある程度の道筋を想定してカンファレンスに臨むことが理想的です。そのような作業がうまくなされないまま開催すると,意見のとりまとめに至らないばかりか,情報を提示しあうだけで時間が費やされたり,有効な議論ができないことがあります。経験を蓄積すると,カンファレンスの意味づけの認識がより明確になり,カンファレンスの結末に対してある程度の予測をもって開催できるようになります。
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