宝物の時間を支えてくれたのは……。

　「おっ！　いい顔してますねっ！　まだめげてませんねーっ！」

　「あ，おはようございます」と廊下で挨拶を返しながら思う。

　「んっ！？　いい顔っていうのはこの私の顔のことっ！？」

　耳の記憶を反芻する間にも，声の主はすでにベッドの父の顔を覗き込んで「おっはようございますっ！」の挨拶です。す，すばやいっ！　父がにっこりとして，一時帰宅2日目の朝が始まりました。