連載 ほんとの出会い・9
大丈夫,歩いていってごらん
岡田 真紀
pp.1131
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100765
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わずか3年間だが,子どもたちのフリースペースのボランティアをしていたことがある。学校に行っている子も行っていない子もどんな子が来てもいい,勉強しても遊んでも何をしてもいい,そんな場所である。スタッフには不登校児の親もいれば,学校に行っている子の親もいる,学生や絵描きさん,そして何と学校の先生まで。スタッフは無償だが,家賃や光熱費はかかる。通ってくる子の親に負担金はあるが,慢性赤字。それを,志に共感してくれる人からの寄付やバザーで補い,公の援助を受けずに15年間も続いている。1人でも通ってくる子がいる限り,何人ものボランティアが当番を組む。
不登校で昼間コンビニに行くと,「学校に行ってないの?」と店員に聞かれる。何か悪いことをしているようで,外に出にくかった子が,学校に行っても行かなくても君はそれでいいんだよ,と接する大人たちと出会い,「僕はこれでいいんだ」と自分を受け入れる。スタッフは,たいしたことしてるわけじゃない,と淡々と,でも真剣に子どもと関わり,その積み重ねから人とのつながりを楽しむ若者が育っていく。
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