連載 武井麻子のOh!それみ〜よ・3
『パパと怒り鬼─話してごらん、だれかに』—家庭のなかで傷つく子どもたちを支えるための絵本
武井 麻子
1
1日本赤十字看護大学
pp.86-88
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200189
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幼少期の心的外傷の影響の深さ
シグムント・フロイトが唱えた、ヒステリーは幼少期に受けた性的外傷体験にまつわる葛藤が原因であるという学説は、今日の心的外傷後ストレス障害(PTSD)研究の先駆けと言われている。最新の脳神経生理学的研究でも、幼少期の愛着にかかわる心的外傷が脳神経系に影響を及ぼし、自己の形成に大きな影響を残すことが明らかにされてきている。
実際、精神科で治療を受けている患者の多くにそのような外傷体験があり、回復を支援するためには心的外傷面への理解と配慮が必要不可欠だと言われている。さらに、家庭のなかで子どもたちをいかに守り育てていくかは、精神障害を予防するためにも社会の重要課題なのである。特に、親が精神的に問題をかかえている場合、子どもたちは大きな影響を受ける。そこで、そのような状況に置かれた子どもたちのための絵本がいろいろと出版されている。
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