- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
介護保険が開始されて5年目をむかえ,私たち薬剤師も多職種と関わりながら,在宅療養者の生活を支えるため活動を行なう場面が増えてきました。薬剤師の訪問薬剤管理指導・居宅療養管理指導業務は図1のような流れで行なわれます。
高齢療養者の特徴としては,次のようなものがあります。
①複数の疾病を有しているため,多種類の薬を併用している。
②視覚・聴覚の機能低下や痴呆などの症状によって,薬に対する理解が不足しがちである。
③加齢による生理機能の低下があり,個人差も大きい。
④生体機能の低下により,症状が典型的でないことが多く,無症状や精神障害を伴う場合がある。
⑤水,電解質等の代謝異常を起こしやすく,発熱,下痢,頻尿などの影響が出やすい。
⑥疾病が慢性化していることが多い。たとえば脳梗塞の後遺症による長期療養など。
以上のような特徴から,薬剤使用上の問題点を考えてみると,まず,多剤服用による飲み合わせ(相互作用)や,誤服用,誤使用が問題となります。
また,常用量の範囲での薬剤使用でも,薬物作用が増大したり,薬剤性の食道潰瘍や転倒など,薬剤に起因する副作用が強く出たりする可能性があります。
これらの危険を回避し,服薬状況を改善するためには,まず訪問服薬指導を行ない,服薬状況のチェックをします。他科受診による重複投与の有無,配合禁忌,副作用や相互作用の可能性を,薬効からだけでなくADLの観点から検討します。このとき,他科処方薬のみでなく,市販薬,飲食物も含めて,チェックをします。
また,医薬品の保管状況,残薬の状況についても確認しておく必要があります。長期にわたる療養生活を支えるために,服薬管理については薬剤師だけでなく,医師,看護師,介護職などチームで関わりを継続していかなければなりません。
かかりつけ薬局・薬剤師の訪問薬剤管理指導・居宅療養管理指導の業務内容としては,服薬説明のほかに医薬品保管管理,薬歴管理があります。また,寝室等の衛生管理,介護用品等の相談応需,在宅医療機器等の指導などの業務も行なっています。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.