特集 精神訪問看護のコツを学ぶ
初めての精神訪問看護―初回訪問シミュレーションと関わりのコツ
春日 武彦
1
1東京都立墨東病院神経科
pp.722-728
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100553
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はじめに
精神障害者といっても千差万別である。よくもまあ社会生活を営んでいられるものだと驚かされるような人(1年中幻聴が聞こえていて,それに応じて独語が絶えないとか,まともに会話が成立しないとか,電気を止められても電気代を払わずに蝋燭で生活しようとするとか……)もいれば,一見したところは健常者と変わらず,むしろその表面的な健全さがかえって問題の根の深さを実感させることもある。彼らは,往々にして我々の予測を裏切る。マイナス方向に「予想外」だった場合にはめまいを,プラス方向に「予想外」だったときには援助者としての喜びを我々は感じるだろう。
とにかく我々は訪問をしなければならない。コンタクトを図り,彼らの生活をより良い形へ底上げすべく働きかけなければならない。そして不全感を抱いたり,迷いや不安を覚えたりしないように仕事をしなければ,我々は遅かれ早かれ燃え尽きてしまうことだろう。充実感や手応えがなければ,我々の仕事はあまりにも過酷なだけである。
以下に,精神訪問看護の実際を再現しながら,留意点や注意点について考えていきたい。少しでも気分的に楽になったり,腹が据わるためのヒントが得られれば,幸いである。
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