調査報告
ハイリスク母子への家庭訪問における保健師の支援の傾向と課題―家族生活力量モデルを用いた初回訪問と継続訪問の分析から
守村 里美
1
,
白井 英子
2
,
岩本 泉
3,4
1北海道渡島保健所
2天使大学看護栄養学部看護学科
3北海道教育庁
4元北海道八雲保健所
pp.642-647
発行日 2008年7月10日
Published Date 2008/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101027
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■要旨
ハイリスク母子に対する保健師の家庭訪問支援について,初回訪問と継続訪問における支援の傾向と今後の課題を明らかにするため,ハイリスク母子を訪問支援している保健師へ自記式質問紙を郵送調査し家族生活力量モデルを用いて分析した。
その結果,訪問事例は「若年出産」や「養育力不足」「育児不安」などの【保護者側のリスク要因】事例が多く,領域別では〈健康維持力〉の家族生活力量充足度が低い事例が半数以上を占めていた。保健師は,〈健康維持力〉〈健康問題対処力〉〈養育力〉へ多く支援している傾向にあった。一方,〈経済・家計管理力〉〈役割再配分・補完力〉へは支援が少なく,〈関係調整・統合力〉〈経済・家計管理力〉については力量充足度が低いにもかかわらず支援していない状況が明らかとなった。その理由には,事例の抱えている健康問題の個別性と特殊性や,支援の優先順位の判断基準などが影響していると考えられた。
今後,ハイリスク母子の支援に対して,地域の実情に合わせて根拠にもとづき優先順位を判断する基準などの作成を検討する必要がある。
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