連載 口腔ケアを待つ人々・1
口腔ケアのゴールとは?
迫田 綾子
1
1日本赤十字広島看護大学看護部
pp.384-387
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100513
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はじめに
■口腔の満足度は2%
まず,データを紹介します。筆者らは1昨年に広島県下の全訪問看護ステーションに勤務する看護師に対して,口腔ケアに関する調査を行ないました。その第1問目で,「在宅療養者は現在の口腔状態に満足されていると思うか」と問いかけました。
回答のあった訪問看護師347名で「そう思う」と回答したのは7名,わずか2%でした。「どちらかといえば満足」をあわせると22%。つまり,訪問看護師の4分の1が「在宅療養者の口腔状態はほぼ満足できる状態」であると考え,4分の3が「不満足」と考えているという結果でした。
この結果を読者の方々は,どのように解釈されるでしょうか。私は“2%”という数字を口腔ケアの学習会やセミナーで紹介しながら,「皆さんの周辺では,どれくらいの満足度でしょうか?」と聞きます。そうすると,「この数字は高い」「もっと自分のところは低い」という恐ろしくなるような答えが返ってきます。これは広島だけの傾向ではなく,東北や四国の看護師も同様に,「現実の満足度はもっと低い」と言われるのです。
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