Scramble Zone
たかが口腔ケア,されど口腔ケア!?
佐藤 由実
1
1医療法人長光会長島病院看護部
pp.764-768
発行日 2003年10月25日
Published Date 2003/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903503
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はじめに
私は歯科衛生士として,本院に入院中の高齢患者の口腔ケアに携わっています.高齢患者の口腔内は,多量のプラーク・舌苔の付着,歯肉からの出血,口腔乾燥,そしてそれらに起因する口臭などの様々な状態を示します.これらは,歯のない患者であっても,経口摂取をしていない患者であっても関係なくいえることです.また,その程度は寝たきりになればなるほど悪化しているようです.つまり,口腔内状況の悪化は,単に口腔内の清掃不良の問題だけでなく,高齢患者の基礎疾患や身体能力などが深く関わっていると思われます.
ここ数年の厚生労働省の統計によると,肺炎は高齢者の死亡原因の中で多くの割合を占めます.したがって療養型病棟などの高齢者医療の現場では,特に注意を払う必要がある疾患です.肺炎の感染経路は主に,①いわゆる風邪ウイルスなどの上気道感染,②食物残渣の誤嚥,③尿路感染,などです.
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