特集 医行為外とされるケアの実践
在宅介護に必要な口腔ケアの知識と方法
迫田 綾子
1
1日本赤十字広島看護大学
pp.547-551
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101109
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サービスの質を測るものさし
Tさん(84歳)は,一人暮らし。元教師であるTさんには職業的な生活態度が身についており,80歳を超えても「人のお世話になりたくない」と,気丈に自立した日常生活を送ってこられました。ところが2年前に脳卒中を患ってからは,すっかり気弱になってしまい,麻痺は改善したのですが,部屋は散らかり,食事も食べたり食べなかったりという日が多くなりました。近所に住む長女は,母親のそのような状況を心配して,週2回の訪問介護サービスを受ける手続きをしました。
ヘルパーの訪問にはじめのうちは「とても助かるよ」と言っていたTさんですが,4回目に「もう来てくれなくていい」と訪問を断ってしまいました。お断りの理由は,「自分でできるから」というものです。不審に思った長女がよくよく話を聞いてみると,理由は別のところにありました。「人の入れ歯に気づかないような,気が利かないヘルパーは嫌だ」と,それは大変な剣幕だったそうです。
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