特集 在宅リハと訪問看護の連携を探る
地域リハにおける訪問看護との連携―行政の立場から
備酒 伸彦
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1兵庫県但馬県民局但馬長寿の郷企画調整部地域ケア課
pp.195-199
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100484
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はじめに
小雪が舞う雪道を2本の杖を頼りに歩いているお年寄り(男性)の写真がある(写真1)。
研修会の度にこの写真をお見せして,
「みなさんはこの写真にどのような感想をお持ちになりますか?」と訊くことにしている。
返ってくる答えは「危ない」,「楽しそう」,「どこへ行くのかなぁ」,「寒くないのかなぁ」,「何をしに行くのかなぁ」,「仕事なのかなぁ」などなど,それはそれは実にさまざまである。
さてどうだろう,1人で考えていて,これほど幅の広い発想を持てるだろうか……? 私にはどうも難しいように思う。もし私が写真の男性を担当するケアマネジャーだったとして,これほどさまざまな発想のなかでプランを考えられるだろうか。多分,無理だと思う。その姿を「危ない」と思えば,きっと「危ない危ない的プラン」(危険性に対応したプラン)を組んで終わってしまうのではないだろうか。
いくらベテランであろうとも,ただ1人で考えていては,発想は狭いところにとどまりかねない。逆に言えば,他人の発想と自分の発想を比べ合わせてみて,さらに他人と意見を交わせば,発想はどんどん広がって,きっとすばらしい仕事ができるはずである。
ケアの現場では多様な職種が重なり合って仕事をしている。各人がその専門性を十分に発揮すべきことは当然として,互いがもっと関わり合えば,必ず今のケア環境は飛躍的に良いものになるだろう。
この小論では,「時代と共に変わるケア」,「生活を見るということ」,「プライドとメンツ」という項を立てて,なぜ連携が重要になってきたのか,連携を保つにはどうすればよいのか,ということについて述べていくことにする。
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