特別記事
医療依存度の高い在宅療養者に対する訪問看護の仕組みづくりをめざして―神奈川県の在宅医療(訪問看護)推進支援事業
大山 晶子
1
,
小倉 弘子
1
,
豊田 まゆ美
1
,
矢島 道子
1
,
鈴木 保弘
1
,
鈴木 吉明
1
,
木島 俊夫
1
,
別所 遊子
2
1神奈川県保健福祉部地域保健福祉課
2神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部
pp.937-944
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100356
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はじめに
今年度は,診療報酬・介護報酬が同時に改定され,全体ではマイナス改定であったが,在宅医療における中重度者への支援体制の強化が盛り込まれた改定内容となった。さらに,本年6月に成立した医療制度改革関連法では,「医療機能の分化・連携」「在宅療養の推進」による切れ目のない医療提供体制の構築が求められている。
このような状況の中で,施設医療から在宅医療への転換は今後ますます加速し,今以上に医療依存度の高い在宅療養者の増加が予想されている。
一方,受け皿となる地域の在宅療養を支える基盤づくりはいまだ未整備な状況にある。特に,ALS等の難病患者や末期がん患者等,医療依存度の高い在宅療養者に対する訪問看護の仕組みづくりは構築されておらず,療養者・家族の負担は非常に大きい。県内でも,在宅療養中のALS患者の人工呼吸器を家族が停止する事件が起こっており,地域医療のあり方が問われている。
県では,このような現状を踏まえ医療依存度の高い在宅療養者に対する新たな訪問看護の仕組みづくりが必要と考え,2005(平成17)年度から,在宅医療(訪問看護)推進支援事業の取り組みを開始した。本事業は,厚生労働省が訪問看護の推進をめざし2004(平成16)年6月に各都道府県に対して実施を通知した「訪問看護推進事業実施要綱」に基づく事業である。折しも今年5月22日,朝日新聞の第1面に訪問看護推進事業が取り上げられ,各都道府県における取り組みがなかなか進んでいないことが指摘されていた。
本県における取り組みは,ようやく2年目を迎えたところであるが,今後の事業のさらなる推進をめざし,これまでの取り組み状況を報告したい。
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