特別記事
在宅での排泄ケアに必要な最新の知識・情報―①排尿ケアについて
西村 かおる
1
1日本コンチネンス協会
pp.588-592
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100291
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はじめに
日本で排泄,とくに尿失禁が問題にされはじめたのは,尿失禁に対する手術や薬物療法が導入された1985年頃からである。当時,諸外国では健康女性の3人に1人が尿失禁症状を持つといわれていたのだが,日本ではまったく表面化しておらず,統計調査もされていない状況であった。しかし,その後の研究で,日本においても健康女性は海外の研究とほぼ同程度の有症率であること,また高齢者に関してはより高値であることがわかってきた。とくに65歳以上の,在宅高齢者の尿失禁頻度は,欧米の22~53%に対し,男性は50%,女性は61%と報告されている1)。
このように尿失禁は,男女を問わず有症率が高く,介護負担を高めるにもかかわらず,「年齢のせい」「おむつは仕方ない」と,介護者も本人もあきらめてしまうケースが多い。しかし尿失禁の治療法や排泄のための用具は,年々進歩してきている。個々のケースの原因をさぐり,尿失禁のタイプをきちんとつかめば,改善できることはかなりある。
本稿では在宅での排泄ケアに必要な最新の知識と情報のうち,①排尿ケアについてを述べる。②排便ケアについては次の機会に述べる予定である。
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