連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・75
子どもが自分を見つめるとき
柳田 邦男
pp.432-433
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102443
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幼い子を見ているほど楽しいことはない。私には1歳4か月になる女の子の孫がいる。架音(カノン)という。近くに住んでいるので,ときどき会える。家の中にいても,外を歩かせても,観察していると一挙手一投足の一つひとつが面白い。
幼い子にとっては,外に出ると,見るもの聞こえるもののすべてが,生まれて初めてのものと言ってよい。道端の草花でも,落ちている石ころでも,驚きや感動の対象なのだろう。「これ」「これ」と言っては,指で差す。言葉はまだまだ断片的だが,一度見たもの,一度教えられたものは,ちゃんと覚えている。
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