特集 "交渉"について考える
歴史上のリーダーにみる交渉力
童門 冬二
pp.88-94
発行日 1992年3月15日
Published Date 1992/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901873
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
交渉とは相手の納得を得ること
交渉の目的は,こっちの目的を理解させ,協力させることにある.その力を交渉力という.したがって,交渉力の中には,相手がもっ「なぜ・いま・こんなことを・やらなければならないのか?」という疑問に答えるパワーが主体になる.別なことばでいえば説得力だ.「なぜ」と疑問を持つ相手が,その疑問を消して,理解・協力するためには,「納得」が必要だ.したがって,この納得を得るための一連の行ないが交渉力だといっていいだろう.これがなかなか難しい.相手にとっては無理矢理押しつけられたり,泣き落されたりして,不承不承理解・協力したりする.しかしこれでは本当に交渉力が成功したとはいえない.やはり,相手の納得を得ることが,交渉の最大の目的だ.
人間の行動は,全て,「動機」があるといわれる.そういう気を起こさせるための営みを"動機づけ(モチベーション)"といっている.交渉力は,この動機づけにも深くかかわりを持っている.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.