院内管理のレベル・アップ 診療録
カルテを「利用」するために・4
診療録室と医局の交渉上の問題点
三竹 年世子
1,2
1前警察病院診療録室
2現杏林大学病院診療録室
pp.56-57
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206280
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診療録室の成立事情の日米の違い
日本に診療録管理ということが台頭してきた昭和30年代には,診療録は医師個人の所有物という考えが強く,その頃,ある新設の病院で診療録の中央化をうたったら,その病院への赴任をとりやめた医師があったというほど,診療録の中央化ということに対して医師の理解がなかった.しかし,20年を経て診療録管理が普及した今,その中央化というのは常識になってきているが,その内容の細部に及ぶ理解となると,事務部門はもちろん,医師側にさえどこまで理解されているか疑問である.診療録室がどんな活動をし,またどんな風に発展していこうと考えているかということについて,今後診療録士の一人一人が医師にダイナミックに接して,その理解度を深めてゆかなければならないのではないだろうか.
アメリカの診療録管理は,その歴史的事情から見ても,専門医養成といういわゆる医師側の必要性から発達してきたものと思われる.それに対して日本の診療録管理というのは,どうも多くは各病院でカルテの置き場と整理に困ったという次元の低い所からおきてきたような気がする.その辺の発祥のちがいから,医師の診療録室への協力と結びついて来ないのではないかと思われる.
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