連載 三治郎の世界・7
シシィの空中庭園
南川 三治郎
pp.495
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901722
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今年は,オーストリア最後の皇妃エリザベートが,スイスのレマン湖畔で暗殺されてから100年目になる.ハプスブルク家600有余年の歴史上最も美しかったエリザベート,愛称シシィは,自由奔放な性格ゆえに華麗かつ窮屈な宮廷社会になじめず,ドラマチックな運命をたどった.私はシシィに魅かれ,その姿を追い求めて,ギリシャ・イオニア海に浮かぶコルフ島に降り立った.
レンタカーでオリーブ畑とユーカリの木々が生い茂る山道を登り,最後のカーヴを曲がると,丘の上に瀟洒な白亜の宮殿,アキレイオン荘が見えてくる.この宮殿の屋上には,世界の七不思議といわれる「バビロンの空中庭園」を模した壮麗な空中庭園が広がっている.ギリシャ神話に傾倒するシシィが,彼女の情熱のすべてを注ぎ込んで完成させた夢の庭園なのである.
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