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病院の庭園と計画
飯島 亮
1
1千葉大学園芸学部造園学科
pp.447-450
発行日 1960年6月1日
Published Date 1960/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201672
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病院の庭園は計画から
病院に庭園を作ろう,或は環境緑化をやろうということになると,直に樹を植えたり,花壇を作つたりすることに考えが飛躍する。
しかしその前に私達は如何に樹を植え,また何処へ,何本位植えるとか,花壇の大さは,位置は,また数等はどうするか等について考えてみる必要がある。そして植樹計画を建て,何年計画で植え終るとかの問題もあるのであるが,実際には上記のような植樹や花壇の問題のみでなく,病院の庭園を作るとなると,非常に複雑で単に,植樹と花壇作りだけでは,決してそこには立派な庭園は生れてこないものである。一般的に庭園を計画する場合でも,その施工の方法,即ち請負制にするとか,半請負制として簡単な部分は私達の手で行い,時には簡単な設計がなされて,全部私達の手で作りあげる方法等も考えられ,またその施工期限についても,3年計画,5年計画,あるいは10年計画となし,部分的に逐次その目的,事情に従つて分割施工する場合もあり,その内容的な計画については,施設,設備の問題,様式の問題,その運営,管理に関するもの等,充分な計画とその検討の上に施工に移す必要がある。計画性のない庭作りは結局において立派なものとはならず,失敗に終るか,庭園の効用価値の小さな割に,非常に大きな犠牲を払わせられることとなるのである。以上のことは病院の庭園においても同様であるので,私達が先ず立派な庭園を作るためには,必ず充分な計画が大切であることを知る。
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