連載 続・白衣のポケット・18
生は誰のもの
志水 夕里
pp.468
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901653
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ターミナルケアの病棟に異動して,一番カルチャーショックを受けたのは,過剰な輸液や処置をしないという方針ではない。体位交換も吸引も,かえって苦痛なら行なわないという看護のスタンスでもない。死にゆく過程が家族によって影響されると,肌で感じたことだ。今までも,看護の対象は患者であり家族であった。
けれど,どちらかといえば主人公が患者で,脇役が家族だと思ってきた。回復という目的のもとに,家族は医療者と協力して,患者を支えるものだった。ところが,死に向かっていくとき,その関係性が,どうやら主役―脇役ではないと,気づいたできごと。
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