連載 迷える・悩める・このデータ・6
週に何回入浴できますか?
星野 桂子
1
1国立保健医療科学院
pp.441
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901648
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国立医療・病院管理研究所(現・国立保健医療科学院)では,同研究所の研修に参加する300~400病院に対して,病院経営に関する各種の数値データを記入してもらい,それを集計して研修資料としていた。1994年からは,看護管理指標の1つとして入浴回数を取り上げた1)。入浴は,入院患者にとって清潔の保持だけでなく,リフレッシュはじめ,さまざまな効用があり,入院生活の質の向上につながる。さらに,看護要員の数や力量,病棟の設備により,実施回数にばらつきが生じるからだ。
しかし,病棟ごとの入浴回数をどのように計測するかについて,いろいろ悩んだ。最初は「入浴可能な患者が週に何回入浴しているか」を一般入浴と介助入浴別に調査した。すると0回の病棟と7回以上の病棟が出てしまった。0回はよく見るとICUなどが多く,それは納得できた。しかし,1週7日に1人の患者が7回以上の入浴をすることは考えにくいので,これは延べ入浴回数が記入されたものと考えた。そこで次の年は,調査項目を「入浴可能な患者が1週あたり入浴する回数」とした。それでも「7回以上」と答える病棟が現われた。看護職員が週あたり何回入浴を介助しているかを記載しているのかもしれないと考え,さらに調査項目を「入浴可能な患者1人あたり週何回入浴しているか」に改めて調査した。これでも「7回以上」が現われた。調査票の記入者が誤解しないような項目を作成することは難しい。
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