特集 激変期に求められる看護管理者のリーダーシップ考
企業におけるリーダー育成と看護のマネジメント
平井 さよ子
1
1愛知県立看護大学
pp.351-356
発行日 2002年5月10日
Published Date 2002/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901628
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はじめに
現在ほどリーダーの望まれている時代はないかも知れない。それは国家においても企業においても,そして私たちの働くヘルスケアシステムの領域においても同様である。一般民衆の期待を一身に受けて誕生した小泉内閣であったが,田中真紀子外務大臣の更迭事件から支持率が急落し,最近はその雲行きも怪しい。その一方で,カルロス・ゴーン氏は,日本人の経営者の誰もが手をつけられなかった経営術で見事,日産自動車を再生させ,救世主のごとく扱われている。経営書の立ち並ぶ書店にはゴーン氏に関する本が至るところで目に付き,報道における取り扱いも一気に「時の人」だ。
このような強いリーダーシップの明暗は一体どこで分かれるのであろうか。それを明確にする前に,改めて今どうして「リーダーシップ」がこれほど問われるのかを確かめておきたい。その背景として,考えられることの1つに,複雑化した社会の様相があるのではないだろうか。昔は優れたカリスマ的リーダーがいて,少数者である彼らが社会を掌握できる単純な構造の社会であった。ところが,新しい時代になり,それまで経験したことのない激変と競争が待ち受けていた。そのような時代には,リーダーシップに恵まれない組織は羅針盤を失い,活力が鈍り,ひいては哀れな末路を迎えることになる。
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