連載 続・白衣のポケット・24【最終回】
Give and take
志水 夕里
pp.970
発行日 2002年12月10日
Published Date 2002/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901566
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ビルしか見えない都心の一画。夜風に吹かれながら,デパートのテラスで書いている。時には,環境を変えてみると,いつもと違う集中力が生まれる。それが好きだ。ナースになって7年。「まだまだ」でもあるが,「もう」とも思う。目の前を,帰宅途中の人の波が,次々と過ぎてゆく。この中の何人が入院経験を持ち,患い,介護をし,明日には亡くなったりするのだろうか。きっと,ナースにならなければ,しなかった見方だろう。
今年,母校の大学で,教養の授業を一コマ,恩師の計らいで私が講義するという機会に恵まれた。自分が緊張し過ぎないよう,現場で味わう倫理的問題を30分程度話せたらいいと思っていた、,教壇は一段高い。そこに立つと,驚くほどはっきりと学生の顔が見えた。こんな中で,私はしょっちゅう居眠りしていたわけか,トホホ。
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