実践診療do's and dont's
古典的治療? Phlebotomy/Don't give nitroglycerin
代田 浩之
1
1順天堂大学循環器内科
pp.649,702
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221628
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急性左心不全の治療として,近年は新しい強心剤や血管拡張剤さらにECUMや補助循環などが注目されているが,単純な古典的方法が著効を示すこともある.
数年前のことだが,60歳の男性が呼吸困難を主訴に来院した.起坐呼吸状態でチアノーゼを認め,全肺野に湿性ラ音を聴取した.胸部X線では肺水腫の状態で,とりあえず酸素吸入,塩酸モルヒネ,利尿剤,さらに強心剤,血管拡張剤を投与した.しかしながら患者はすぐには利尿がつかず,次第に不穏状態になって行く.カルテをみると腎不全を基礎疾患として持ち,近いうちに透析導入を避けられないと言う.利尿剤が効きにくいわけだ.ECUMの準備ができる前にこのままでは挿管,PEEPが必要になるかもしれないと思いながら,150 mlほどphlebotomyをした.まもなくすると自覚症状がかなり軽減して,そのうち利尿もつきはじめ,なんとかその場をしのぐことができた.
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