連載 迷える・悩める・このデータ・12【最終回】
やっぱり「看護」のデータは難しい!
星野 桂子
1
1国立保健医療科学院
pp.945
発行日 2002年12月10日
Published Date 2002/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901561
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旧厚生省管轄の国立病院管理研究所に就職してから30年,ほとんどの時間を調査とそのデータ処理に当ててきた(余談だが,2002年4月の統廃合により私の職場は国立保健医療科学院となった)。この間,少なくない間違いがあった。
最も多いのが調査.票の設計ミス。患者さんの状態を把握したい,看護に何ができるか,実際に何をしているか知りたい,この一心で調査票を作る。最初は現場のことがよくわからないものだから,回答を見て質問項目を修正することもしばしばあった。たとえば,単純にADLの自立度を尋ねて集計してみたら,「できるのにしてはいけない」場合があることに気が付いた。そこで,次回の調査にはその項目を入れた。「手術の有無」を質問項目に入れたら,長期入院だと何年も前の手術でも「手術あり」として出現してしまう。そこで「入院中の直近の手術」としてみた。ところが,術後退院しても回復が思わしくなく再入院というケースでは,入院日より前の日付が記入される。「その日に実施した看護」をとお願いしても,入浴介助などはADLと勘違いされて「介助あり」と書かれる。記入者としては,いちいち質問の意図にかなった回答かどうかまでチェックできない。できるだけ記入しやすく,項目の解釈が多様にならないようにと考えるが,予期せぬ回答は皆無にならない。
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