特集 看護倫理が医療を変える
看護管理と臨床倫理
清水 哲郎
1
1東北大学大学院文学研究科
pp.526-530
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901453
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はじめに
看護管理という立場から,臨床倫理をどのように理解し,現場において実践していったらよいかについて,管理,教育,組織作りといった面を念頭に考えたい。とはいえ,私は「看護管理」についてはまったくの素人であって,以下で提示することには見当外れのことが多々含まれているであろう。したがって,読者の側でクリティカル・シンキングにより取捨選択しながら読んでいただきたい。
〈臨床倫理〉とは,医療・看護の現場で,医療・看護従事者が患者・家族と関わりながら医療行為を進めつつある個別の事例の倫理的側面について検討する営みのことである。その検討の主要な対象は,医療・看護上の方針決定のプロセスである。これは,ある人を診察した結果,何らかの疾患が見出されたとして,それに対してどのような治療をするかという場面である。また,看護者がその患者と接して,今後の看護目標を立てるというような場面である。この方針決定のプロセスに倫理的な要素が集中している。もう1つの検討対象は,患者・家族との間に何かトラブルが起きたというような状況で,それまでの医療・看護活動を振り返って,問題の根を見出し,そこから今後の活動への指針を得るといった場面である。以下,これらについて基本的な考え方を提示したい。
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