伝えたい話
「お産の家」でいのちが生まれる
大野 明子
1
1明日香医院
pp.458-461
発行日 2001年6月10日
Published Date 2001/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901437
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緑多き杉並の地に小さな「お産の家」を構え,2度目の春です。「お産の家」は,木の家で,1階が産科の診療所,2階は当直室を兼ねた自宅です。季節が春から夏へと移りゆくなかで,お産とともに日々を暮らしています。大きく開いた窓の外に緑と青空が広がり,明るい日ざしが射しこみます。この家から大きな自然につながり,守られて,私の暮らしと仕事があると感じます。コンクリートの向こうに狭い灰色の空が広がっていた,都心のマンション暮らしの頃には想像もできなかったことです。
この土地には,以前,老夫婦がお住まいでした。その庭には木がたくさんありました。「お産の家」の建築にあたり,一時的な移植などの方法で,ほとんどの木を残しました。その上で,株立ちのケヤキをはじめ何本かを足し,すべての木が仲良く,家とすてきに調和しているのは,建築家と造園家の力量です。
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