連載 環境?!・14
小さくなった待合い空間
筧 淳夫
1
1国立医療・病院管理研究所 施設環境評価研究室
pp.85
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901161
- 有料閲覧
- 文献概要
病院の外来というと「待ち」がいつも問題となる。「3時間待ちの○分診療」などと言われるように,病院の待ち時間の長さが問題となっている病院は,今でも少なくない。待ち時間の短縮については,外来診療の予約制,会計情報や投薬情報のオーダリングシステム,それに院外処方など,建築の立場からはほとんど言及することができないが,逆に待ち時間が短縮すると建物は大きな影響を受けることとなる。各診察室前の待合室は,予約の時間帯に来る人数をベースに考えて小さく細分化することができる。また,会計や投薬窓口の前の待合いは,かつて大ホール状の待合い空間であったものが,20人程度の小さな待合いですむようになる。そうなると,まず今までの外来空間のイメージが変わってくるかもしれない。外来患者の多い病院では,玄関を入ると大きなホールがあったが,もっと小さく,天井も低い落ち着いたエントランスとなり,病院全体に占める外来部門の面積の割合も少なくなるのではないだろうか。
写真の病院では,さまざまな工夫により外来部門の待合いを小さくすることができた。会計窓口前の待合いの椅子は40人程度分しかなく,それも会計待ちの患者だけが使っているのでもない。この病院では,こうして空いた空間を外来食堂に利用している。病院の運営システムが変わることにより,これからの病院の建築が少しずつ姿を変えていきそうである。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.