連載 環境?!・10
落ち着いた生活空間
筧 淳夫
1
1国立医療・病院管理研究所 施設環境評価研究室
pp.749
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900906
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病院には,いかにも「病院だな」「病棟だな」といった印象を与える要素がある.白衣を着た看護婦さんや,どこからともなくもれてくる薬の臭いなどがそれであり,建築的には一列に並んだ病室などもその1つである,薬や医療器械が並んでいるナースステーションも同様に,病棟の大切な要素ではあるが,「病院臭さ」を漂わせている.
一方で,「病棟」と一口に言ってもさまざまな種類がある.急性期の治療を短期間で行なっているような治療密度の濃い病棟,長期にわたって入院を続けなければならない慢性疾患の病棟,「がん」という不治の病と向かい合いながら質の高い生活の確保を重視する病棟,など多種多様である.もちろん,そうしたそれぞれの空間を設計(演出)するためには,何を重視するのかを決めなければならない.たとえば急性期病棟であれば,ナースステーションから病室が近いことや,患者の様子を把握しやすいことなどが病棟評価の重要なポイントとなろう.
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