連載 白衣のポケット・9
看護する手
志水 夕里
pp.978-979
発行日 1999年12月10日
Published Date 1999/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900951
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一行為一手洗い,さまざまな消毒薬,ゴム手袋,それらに乾燥が重なって,冬のナースの手は見るに忍びない.ひび,あかぎれ,ささくれ,たまにしもやけ.保湿クリームを塗る間もなく,塗っても手洗いですぐに落ち,血がにじむ.ばん創膏を貼っても,水に濡れればはがれてしまうし,不潔にもなる.
休日に買い物に行っても,指輪とマニキュアの売り場は,なんとなくため息をついて佇んでしまう.つるつるの手,長い爪,力仕事をしないゆえの細い指.あー,そんな手だったら似合うのだろうな,と思う半面,手荒れはナースをやっているのだから仕方ないじゃない,と割り切る気持ちもあった.
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