特集 手で思索する看護
看護する手—その表情
堀田 美鈴
1
1東海大学医療技術短期大学
pp.243-248
発行日 1979年3月1日
Published Date 1979/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918623
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はじめに
ある朝いつものように病室に入ると,私はKさんの枕元の乱れが気になった.近づいてみると,Kさんは軽く目を閉じたままであるが,じっと動かない顔は人の気配は感じている様子だ.私は掛け布団に手を当ててから,そっとKさんの手首に触れると,Kさんはだれか?と確かめるように,目を開け,私を見る.安心したようにまた目をつぶる.
‘熱いですね,お熱があるようだけど’と言うと,力なく‘ウン’とうなずく.額に手を当ててみると,やはり少し熱い.Kさんは右手を少し動かし,頭を指す格好をする.
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